或る物書きの英語喉と小説まみれのジャズな日々

  英語喉とジャズと小説をこよなく愛し、映画・アニメ・漫画・R&B・70年代ロック・Suchmosなどに眼がない或る物書きが綴る

決定版ビートルズ名曲誕生秘話集『Read The Beatles』Kindle版を発刊しました!

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革命的音楽集団「ビートルズ」の、永遠不滅の名曲誕生にまつわる興味深い秘話を綴った筆者のKindle書籍が発刊された。マニアなら周知のエピソードから、謎のまま語り継がれているエピソードまで、そんなエピソードのいくつかを入手できる限りの情報を基に、掘り下げて書いたものである。 

 

ビートルズ画像

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 『Read The Beatles』ビートルズ名曲誕生秘話集Kindle版

 

永遠不滅の革命的音楽集団「ビートルズ」の名曲の誕生にまつわる興味深いエピソードや、あるいは謎のまま語り継がれていることが色々と存在する。


ビートルズの熱いファンの人々はもちろん、彼らのことをまだよく知らない音楽ファンや、これからビートルズに親しもうという人々のために、そんな秘話を集めて掘り下げて書いてみた。


事実関係がはっきりしているものや、憶測が飛び交ってともすれば矛盾する説が並存する場合もあるが、筆者が可能な限り収集した情報に基づき、俯瞰して出来事を再編集した。


情報が欠ける部分や知りようもない会話部分などは想像を加え、事実に基づいたノンフィクションに限りなく近い読み物として読んで頂ければ幸いである。


尚、各章の対象楽曲ごとに、完全に視聴できるYouTube動画のURLも掲載しているので、原曲を聴いて楽しみつつ読んで頂けるように配慮してあることを付け加えておこう。

 

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内容の一部を紹介 


While My Guitar Gentry Weeps

1968年7〜9月収録
 
クラプトン参加の謎
 
ビートルズの曲の中で『サムシング』と並んでジョージ・ハリスンの名曲に挙げられるのが『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』であることは、衆目の一致するところだろう。

 

また、ジョージによる楽曲自体も素晴らしいが、エリック・クラプトンがビートルズとして初めて外部からのギタリストとして参加し、ギターファンを大いに唸らせる渋い泣きのギターを披露していることでも有名だ。

 

この今や伝説化しているコラボレーション曲に関する経緯には諸説囁かれており、本当のことはクラプトンが胸に秘めているのみだ。情報が欠けている部分を想像で埋めて、伝説のセッションの顛末をできるだけリアルに描いてみることにする。

 

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ジョージと友
 
「彼ら二人は自分たちの曲で10曲ぐらい録り終わらないかぎりは、僕の曲なんて一向に見向きもしない」ジョージ・ハリスンは隣、つまり運転席でハンドルを握る友人にそう言った。

 

彼と友人は今、先ほどまで一緒に寛いでいた友人宅から、友人の自家用車でアビイロード・スタジオに向かっていた。


「本当かい?」訝しげに友人は返した。
「本当さ。10曲ほど録り終えたら、1曲ぐらいはジョージの曲も録音してやろうかって感じなんだ。それだけじゃない・・・」

 

「他にもあるのか?」友人はハンドルを握りつつも、一瞬ジョージの横顔を振り向いてそう言った。
ジョージは諦観のこもったため息を漏らしながら続けた。

 

「彼らは・・・その1曲だって、真剣に取り組みゃあしないんだ。お遊びだよ。ポールは歌を邪魔するかのような音数の多過ぎるベースラインを平気で弾くわ、ジョンはジョンでトリッキーなギターのフレーズを入れては悦に入っている。リンゴだけさ・・・真剣に演ってくれるのは」

 

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「うーん・・・ちらっと噂には聞いていたが、そこまで彼ら二人が傍若無人になっているとはね・・・」
友人は右手でハンドルを握ったまま、左手でシャツの胸ポケットから煙草を一本器用に抜き取って口にくわえ、顔は前方に向けたまま、左手でシガーソケットを抜いてタバコに火を点けた。

 

ジョージはさらに続ける。
「ここ最近の四回は、僕の新しい曲『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』も録音したけれど、そんな感じだから最初から三回は全テイクが没さ。前回、そう四回目にやっとリズムトラックが確定したところだ」

 

友人は煙を吐き出して言った。
「そうかい・・・ジョージも大変だね。でも、今日君が弾き語りで聴かせてくれたあの曲はとても素敵な曲だな。ビートルズの楽曲の中でも、異彩を放つと思うんだ、僕は。だから、バンドとして充実した演奏レベルで録音して欲しいと切に願うよ。いちビートルズファンとしては・・・」

 

友人の言う通り、『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』は多くの人が共鳴できる美しくも切ないメロディラインと曲想を孕んだ、素晴らしい楽曲だった。 

 

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易経
 
ジョージはその頃、中国の「易経」の書物を持っていたが、そこで示される原理は「すべての物事は起こるべくして起こるものであり、偶然などひとつもない」といった東洋哲学に貫かれていた。

 

ジョージは新しい曲を書こうと考えた時に、この易経の考え方を念頭に置いてこう考えた。少し前に自分が両親の家に戻る機会があったのだが、行く前に決めたのが一番最初に出会う言葉をモチーフに曲を書き始めようということだった。


そして実際に家に戻った折、書棚から適当な本を抜き取り、適当に開いたページに書かれていた言葉が『gently weeps』であった。

 

そこから想像力と創造力を最大限に膨らませて、あの名曲が出来上がったのだ。
ジョージ自身もその曲を気に入っていたので、メンバー間の不協和音の中ではあるが、良い雰囲気で録音をしたいと願っていた。

 

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エゴイズム
 
「ところでエリック。君の方のバンドのとうとう解散するらしいって噂こそ、あれ本当なのかい?」とジョージは話題を友人の方に寄せる。


「えっ・・・うちの方かい?う・・・ん・・・」
「ジンジャーとジャックは相変わらず犬猿の仲なのかな?」
「どんどん、エスカレートしてきてね・・・どこのバンドも色々あるもんだけど、あの二人の仲の悪さは異常だ。実は4ヶ月前のアメリカツアー中も、彼らは見栄の張り合い、意地の張り合いだった。協調なんて・・・ほど遠い」

 

エリックと呼ばれた友人のフルネームはエリック・クラプトン。当時はスリーピース(3人編成)のブルース・ロックバンド「クリーム」のギター兼ボーカルだった。このバンドにリーダーは存在しない。各人がそれぞれ高い演奏能力と感性を持ち合わせていたからだ。

 

他の二人、ベース兼ボーカルのジャック・ブルースとドラムスのジンジャー・ベイカーは二人とも実は元はジャズ畑の人間だった。元々二人とも、多くのロックミュージシャンとは一線を画す、高度な演奏技術を持っていた。

 

バンドの成り立ちはジンジャー・ベイカーが、ヤードバーズで規格外の活躍を見せつけ脱退後はブルースブレイカーズに在籍していたいたエリック・クラプトンと、新しいバンドを作りたいという希望を抱いたところから始まった。

 

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ジンジャーはエリックに出会う機会を作って、その構想を打ち明けてバンド結成を呼びかけた。エリックはジンジャーに一目置いていたので一つの条件をつけてOKした。その条件がベースに、当時マンフレッド・マンに在籍していたジャック・ブルースを迎えることだった。

 

エリックはかつてアメリカ資本のレコード会社エクストラ・レコードのイギリス進出時の企画ものでセッション・オムニバスアルバムを作った時の共演を通して、ジャックの演奏技術とボーカルの巧さに感銘を受けて、一緒にバンドをやりたいと願っていたからだ。


ジンジャーはしぶしぶその条件を飲んでバンドが結成されたが、実は彼とジャックは以前に同じバンドで演奏していた時期があり、その頃から仲が激しく悪かった。それがついに限界にきたのだ。

 

「もうあの二人もお互いに限界がきて、僕にももはやなす術はなかった。なにせステージ中に僕が演奏を中断しても、彼らは気づかない感じだった。それぐらい自我に凝り固まっていたんだ・・・二人とも」

 

どのようなバンドも・・・ビートルズにせよクリームにせよ、バンドというものはメンバーのエゴイズムがある一線を超えた時に、崩壊のシナリオに入ってゆくものなのだろう。

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ジョージの閃き
 
他人事ではない話に、助手席で真摯に耳を傾けていたジョージだが、突然何かを思いついたらしく、大きい声で唸った。
「あぁっ・・・そうか・・・そいつはいいぞ!」


驚いたエリックはジョージの方を一瞬振り向いて、また視線を前方に戻す。

「エリック!君に頼みがある。スタジオに着いたら僕と一緒に中に入って、僕の例の曲でリードギターを弾いて見てくれないかい?」

 

エリック・クラプトンは面喰らって、前方を向いたまま大きくかぶりを振った。
「い、いやいやいや・・・ジョージ・・・いくら君の頼みとはいえ、天下のビートルズだぜ?僕がリードギターなんて恐れ多いよ、いくらなんでも・・・」

 

ジョージは数秒の沈黙ののちに、ゆっくりと、しかし力強くこう言った。

「あの曲はビートルズの曲である以前に、この僕・・・ジョージ・ハリスンの曲なんだ。そのジョージが君に参加してくれと頼んでいるんだよ?」


さらにジョージは続ける。
「君の参加は、おそらくギクシャクしたメンバー間に、いい意味での緊張をもたらすカンフル剤になると思う。ジョンとポールが、新進気鋭のギタリスト二人・・・クリームのエリック・クラプトン・・・君と、レッドツェッペリンのジミー・ペイジには一目置いていて、非常に興味があると以前雑談で話していたから。きっと素晴らしいセッションになるさ」

 

エリックはジョージの話に頷きながらも、最後の抵抗にこう言った。
「でも、今日は僕はギターを持ってきちゃいないよ。そんな予定ではなく、ただスタジオまで送ってあげるだけのつもりだったから・・・」


それを聞いてジョージはニコッと微笑んだ。


深い笑い皺が、ジョージの哲人めいた人相を一変させて、人懐っこいかんばせに仕立て上げた。

「それなら心配ない!先月、君が僕に譲ってくれたギブソンのレスポール・・・いや、『ルーシー』だったね・・・彼女がスタジオにいる。彼女なら君も扱い慣れているだろう?」

 

それを聞いてエリックは返す言葉がなく、覚悟を決めて深く静かに頷いた。

 

( 続きは本編で・・・)

 

 

 

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