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ビートルズ・ジョージの最高傑作「サムシング」はレイチャールズをイメージして作った

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ビートルズ画像

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 Something

1969年5〜8月 収録

 

 Contents

 

 

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ジョン&ポール顔負けジョージ会心の曲 

 

 『サムシング』をジョージ・ハリスンのビートルズ時代の楽曲の中で最高作に位置付ける人は多い。レノン・マッカートニーも含めた中でも、一番に挙げる人も多い。ビートルズ・ファンのみならず、その傾向があるようだ。

 

あのマイケル・ジャクソンはビートルズの楽曲中『サムシング』が最も好きだったが、ジョージとは思わずポール・マッカートニーの曲だと勘違いしていた。

 

そのマイケルがある時、ジョージ・ハリスンと対面する機会があって、『サムシング』がジョージの曲と初めて知って「ええっ、あれはあなたの歌なのですか!?」などと興奮し、ジョージに多いに敬意を表したらしい。

 

フランク・シナトラは『サムシング』をカヴァーしてステージで歌っていたが、当初はまさかジョージと思わず、「レノン・マッカートニーの曲の中で一番好きなラブソングだ」などと曲紹介をしていたという逸話がある。

 

フランク・シナトラ以外にも多くのシンガーが『サムシング』をカヴァーしており、その数たるや『イエスタデイ』のカヴァー数に次ぐ膨大さではないかと言われてもいる。

 

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黒人音楽に憧憬を持っていたジョージ

 

数ある『サムシング』のカヴァー・バージョンの中でも、作者ジョージ・ハリスンにとって最も光栄に感じたのはR&Bの大御所レイ・チャールズが歌ったそれだ。

 

なぜなら、元々ジョージはこの曲を、レイ・チャールズが歌い上げるイメージで書いたのだ。そして、後年レイ・チャールズが本当に歌ったことに心が動かされたと、本人が語っている。

 

ジョンとポールに劣らずジョージも黒人音楽が好きだったのだ。ビートルズが解散してから最初に大ヒットした『マイ・スウィート・ロード』もゴスペル・フィーリング満載の曲だ。(この曲は盗作とされて訴訟問題になったが、その話はまた別の機会に)

 

レイ・チャールズのカヴァーは実に彼の個性に似合うバージョンになっており、なるほどそういうことだったのかと納得してしまう。

 

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クリシェの効果が絶大な構成

 

『サムシング』は「クリシェ」という技法の効果が、物凄く表れているお手本的な曲だ。クリシェというのは、簡単にいうと「同じ和音(コード)の連続の中で、構成音の中の特定の音だけが、主にクロマチック(半音)で移動していくアレンジ」である。

 

同じコードの状態であるのにも関わらずコードが進行していくような彩りをつける、極めて音楽的な香り高い印象を与える技法である。

 

Aメロ冒頭の「 C ー Cmaj7 ー C7 」とBメロの「 Am ー Am maj7ー Am7 」の二箇所にクリシェが使われている。全く違和感を感じさせずに、平穏から憂鬱、そして希望に転じるようなイメージを作り上げるのに成功している。

 

そのコードアレンジはラフ段階でも既に完成していたのが、『Anthologgy3』に収録されているギター弾き語りのデモ・バージョンでよくわかる。

 

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ジョージの完璧なギターソロ

 

この曲の間奏のおけるジョージのギター・ソロは彼のビートルズ人生の中でもっとも素晴らしい、卓越したソロだった。

 

タッチ、フレージング、ビブラートのニュアンス、タメ、メリハリ、どれをとっても一流の出来栄えであり、あまりの秀逸さにクラプトン説も出たぐらいであるが、これはジョージ本人の演奏だ。

 

ただし、使用したギターはエリック・クラプトンから譲り受けたギブソン・レスポール、愛称「ルーシー」だが。

 

筆者も一時期このソロクラプトンだと疑っていた。当時の不充分な情報ではなんとも言えなかったので、フレージングや音色を精査したことがあり、それでも当時自分で出したひとまずの結論はジョージ本人だった。

 

その後様々な信頼できる情報に触れることができるようになり、やはりこのソロはジョージ自身が弾いたことはハッキリしている。

 

それはジョージ・マーティンの証言によっても明らかだ。詳しく説明しよう。

 

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オーケストラとともに一発録り

 

『サムシング』のギター・ソロはジョージによる演奏だという証明の前置きだが・・・『アビイ・ロード』の音の世界は複雑な構成になっているが、それは8トラック・レコーダーで録音されていることも一役買っていた。

 

アビイ・ロード・スタジオでビートルズが従来使用していたのは、4トラック・レコーダーなのである。またこのアルバムは、ビートルズがトランジスタ回路のミキシング・デスクだけを使用して収録した唯一枚のアルバムである。

 

従来は真空管回路のミキシング・デスクだった。トランジスタ回路のミキシング・デスクは録音の音質が極めて良く、そのおかげでオーバーダビングの手間が従来より省けていた。

 

エンジニアのジェフ・エメリックによれば、アルバム『アビイ・ロード 』の収録で使われたミキシング・デスクでは、オーディオ・チャンネルごとにリミッターとコンプレッサーが組み込まれていたということだ。

 

結果としてサウンド全体が、従来の真空管回路を使用した音よりも柔らかくなっている。

 

ここからが本論だが、ジョージは当初に録音したギター・ソロに納得がいかなかったので、ブロデューサーであるジョージ・マーティンに録り直しを申し出た。

 

しかし、すでに8トラックのほとんどをびっしり使い切っており、もしソロの録り直しをするとしたらオーケストラ用に残っている最後のトラックを使い、それをオーケストラの録音時に、彼らの演奏と同時に「ノーミス」で弾きこなす必要があった。

 

ジョージ・マーティンの説明を聞いてジョージは言った。

「大丈夫さ、それで頼む」

 

マーティンの心配をよそに、ジョージ・ハリスンはビートルズ史上に残る名ギター・ソロを、オーケストラをバックに悠々と弾き切ったのである。これにはジョージ・マーティンも舌を巻いたという。

 

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Charも見抜けなかったジョージの開花 

 

 余談だが、筆者も大好きであり尊敬しているギタリストCharが、40年ほど前のことだがギター雑誌「ロッキンf」でギター講座を連載していた中で、この『サムシング』のソロを取り上げていた。

 

そこでは、このソロはエリック・クラプトンが弾いたもと決めつけ、計算し尽くされた完璧なソロだとベタ褒めして分析していた。

 

そしてラジオ番組で発言していたのだが、「サムシング・ギター・ソロ・クラプトン説」の根拠が「ジョージがあれほどのギター・ソロを弾ける訳がない」だった。

 

それが根拠なので、ちゃんとした証拠となる情報があって言ったのではなく、ソロのクオリティでそう決めつけていたのである。それぐらい、素晴らしいソロであったということなのだ。

 

思えば作曲にせよギター・ソロにせよ、まさかあのジョージができるわけがないと思われていたレベルに、ビートルズの晩期には到達していたジョージ・ハリスンであった。

 

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ポールに再三再四注意したジョージ

 

この曲でのポール・マッカートニーのベースラインの凄さも有名である。リードベースとも言うべき、歌と絡みながらオブリガート(カウンターメロディ)を歌い上げるようなベースであり、惚れ惚れする演奏だ。

 

しかしこれにもいわくがある。

 

素晴らしいのは素晴らしいが、少々音数が多過ぎるとも感じられるベースラインであり、ともすれば歌やギターソロを邪魔しかねないギリギリの線にも感じる。実は、「抑えて」これなのである。

 

と言うのは、バンド内での発言権を目覚ましい実績で獲得していったジョージ・ハリスンは、この曲のセッションの度にポールに「もっとシンプルに」と再三再四注意をしたのだ。

 

注意されなければどれほど前に出過ぎたベースラインになったのか、想像に余りある。これはポールの自己顕示欲もあるのだろうが、それ以上にメキメキとレベルを上げていくジョージに脅威を感じていたゆえの、負けん気の表れではないだろうか。

 

リンゴ・スターの言葉を借りてコラムを締めくくろう。

 

サムシングは素晴らしい曲だった。

でも皮肉なものさ。

ジョージの才能が開花するのと同時に、ビートルズは終焉に向かったのだから。

 

 

Full Album 2019 Mix

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