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ビートルズ『オー!ダーリン』は稀有なる極上ロッカ・バラード【アビイ・ロード秘話】

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ビートルズ画像

https://plginrt-project.com/adb/?p=10998

Oh! Darling

1969年4〜8月収録

 

 Contents

 

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極上のロッカ・バラード 

 

ビートルズのアルバム『アビイ・ロード( Abbey Road )』の4曲目、『オー!ダーリン( Oh! Darking )』は世の中のロッカ・バラード系楽曲の中で、間違いなくトップクラスの秀逸な曲だ。

 

ロッカ・バラード・・・という言葉は、最近では一般的にはあまり使われないので耳に馴染みがない人もいると思う。少し補足しておこう。

 

ロッカ・バラードとはR&Bテイストの、三連符を基本とした4/4拍子のバラードのことだ。実際、多くのシンガー、バンドによるたくさんの曲がある。

 

日本のアーティストで挙げるなら、心からR&Bを愛した男、忌野清志郎が歌うRCサクセションの『スロー・バラード』が典型的なロッカ・バラードである。

  

世界的に有名なロッカ・バラードを一曲挙げるとしたら、断然パーシー・スレッジによる『男が女を愛する時(When a Man Loves a Woman)』だ。

 

1966年の全米総合チャートのビルボード・ホット100、並びにビルボード誌のR&Bシングル・チャートで共に1位を獲得した大ヒットチューンである。

 

ちなみに1991年にブルーアイド・ソウルシンガーであるマイケル・ボルトンがカヴァーしてビルボード・ホット100の1位になった。

 

しかし大味で繊細さに欠けるボルトンのボーカルでは、パーシーの黒人ならではとも言えるナイーブな中にファンキーなシャウトが冴える、ハートフルな歌には遠く及ばない。

 

このパーシーの曲が、時期的にも曲想、曲調的にもおそらくポール・マッカートニーが『オー!ダーリン』を作ることに影響を与えているのではないだろうか。

  

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ビートルズと黒人音楽

 

ビートルズのメンバー、とりわけジョンとポールはR&Bが大好きだったし、黒人音楽をリスペクトしていた。

 

初期にはオリジナルの曲の完成がレコーディングのスケジュールに間に合わない場合など、モータウン系アーティストの曲をカヴァーして収録したぐらいである。

 

『 You've Really Got A Hold On Me 』は「スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ」の曲だ。

 

 

『 Please Mr. Postman 』は女性ボーカル・グループ「マーヴェレッツ」の曲だ。

 


 

そして『 Money 』はモータウン・レーベルと最初に契約したアーティストのひとりバレット・ストロングが歌った、モータウン・レーベル最初のヒットチューンである。

  

 

『 Mr. Moonlight 』は、モータウンではなくジャズ系がメインだったコロムビア・レコードのR&Bシンガー、ピアノ・レッドが「ドクター・フィールグッド&ジ・インターンズ」という名義で出した楽曲だ。

 

 

余談だが、これらの曲はビートルズのおかげで逆輸入的に脚光を浴び、オリジナルのごっつぁんヒットを生んだ。そしてモータウンはその後、逆にビートルズをR&B風にカヴァーした曲をたくさん世に出したぐらいだ。

 

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音楽の最高峰を目指したアルバム

 

ともあれ、ポール・マッカートニーは『アビイ・ロード』にR&Bのエッセンスが詰まったロッカバラードを入れたかったのだろう。なぜならこのアルバムは従来のビートルズ以上に音楽性の広がりにこだわっていたからだ。

 

実際、クラッシック、チャールストン、R&B、カントリー&ウエスタン、ヘヴィロック、プログレッシブロックほか、様々な要素が今まで以上にミックスされつつ、ビートルズの音楽として昇華されているアルバムに仕上がっている。

 

なにせ当初のアルバム・タイトルはポールが提案したのだが、『 Everest 』 だったのである。最高峰を意味するこのタイトルに見合う、最高の音楽を残そうとしたのであろう。

 

ちなみに、タイトルが変更した理由はふるっている。アルバム・ジャケットの写真を実際にヒマラヤに撮りに行く案に対して誰かが、そんなのはごめんだとNGを出したらしい。そこでポールが『 Abbey Road 』を提案し、それに決まったのだ。

 

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本当はジョン・レノンが歌いたかった

 

ポールが作った『オー!ダーリン』はメンバー全員が認める良い楽曲だった。

 

とりわけジョンはおおいに気に入って、ポールの曲ではあるが自分が歌いたくなっていた。ポールよりも、自分の方が上手く歌えるタイプの曲だと執拗にアピールをするほどであった。

 

しかしポールの意気込みには勝てなかった。彼はこの曲に合う声質にするために、数日間、シャウトを伴う歌い込みを続けた。

 

ボーカル録音の当日も、朝から何度も激しく歌いこんで、声をワイルドで可能な限りハスキーに仕立て上げて録音に望むというストイックさを披露したのだ。ジョンも引き下がらざるを得ないポールの執念がこもった録音であった。

 

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 四人のクオリティ高きパフォーマンス

 

この曲のピアノはジョンが弾いている。本職のピアニストに負けない、ノリが良くて素晴らしい演奏だ。

 

また、ジョージのギブソン・レスポールによるプレイも、キレのいいコード・カッティングやサビのスタッカートなアルペジオ(分散和音)などギター好きにはたまらない味わいがある。ジョージはこの曲でムーグ・シンセサイザーも演奏している。

 

この曲でのリンゴ・スターのドラムスの迫力、ノリのよさ、フィルイン(おかず)のセンスの良さには脱帽してしまう。特にサビに向かう時のぐいぐいと力技で盛り上げるフィルインのドライブ感は凄まじい。

 

もちろん、ポール・マッカートニーのリッケンバッカーによるベースプレイは、仕上がり切ったピカイチの演奏だ。

 

そしてボーカルを引き立てるバックコーラスは、もうビートルズらしさも満開かつR&Bフィーリングも芳醇に薫る、完璧としか言いようがないものだ。

 

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意味深で強烈なラブソング

 

歌詞の内容はストレートで強烈なラブソング・・・というか、去って行く恋人をなりふり構わず引き止めようとする者の叫びだ。

 

おれを信じてくれ、悪いようにはしない。

もう必要ないなんて君に言われたら、おれはおかしくなって死んじまう。

行かないでくれ。ひとりにしないでくれ。

 

そんな内容である。

 

誰に向けたメッセージなのか・・・非常に意味深であると言えよう。

 

 

Full Album 2019 Mix

  

 

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