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ビートルズ「アビイロード」名曲ビコーズはベートーヴェンとヨーコなくして存在しない

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ビートルズ画像

https://tomokootsuka.muragon.com/entry/59.html

 Because

1969年8月収録

 

 Contents

 

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群を抜いて和声が美しい『ビコーズ』

 

ビートルズの曲の中で、ハーモニーがもっとも美しい曲はどれかといえば、やはり『アビイ・ロード』の中の『ビコーズ(Because)』を挙げるひとは多いだろう。

 

ジョン、ポール、ジョージの3人が「5人目のビートルズ」ジョージ・マーティンの和声アレンジのもと、オーバーダビングを2回重ねて、実に9声の完璧なコーラスラインを成立させたのだ。

 

この曲はジョンが作ったのだが、元ネタという言い方は妥当ではないが、ヒントになったものがある。それは凡人にはありえないジョンならではのきっかけであり、それにはヨーコ・オノが一役買っている。

 

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 ヨーコが弾いていたピアノソナタ

 

ジョン・レノンが自宅でくつろいでいたある日の午後、ヨーコ・オノはベートーヴェンのピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27の2『月光』をピアノで弾いていた。

 

ジョンは当初聴き入っていたが、突然何かを閃いたようにヨーコに近寄って、こう言った。

 

「ヨーコ、今弾いていた辺りをさかさまに弾けないか?」

ヨーコは意表をつくリクエストに、一瞬きょとんとしてジョンを振り返った。ジョンはにこやかではあったが、冗談を言っている顔ではなかった。

 

「ええ、多分できると思うわ。やってみましょう」

そう言ってからヨーコは、しばらくどの部分を逆に弾くかを考えつつ譜面を見つめていた。やがておもむろに鍵盤に指を近づけ、少し深呼吸をしてから弾き始める。

 

それを聴きながらジョンは何度も頷いた。その不思議であり荘厳でもあるメロディラインにおおいに触発されたようだ。

 

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ジョンの世界観が凝縮された深淵な詞

 

それからジョンは、今しがた得たインスピレーションを形にせずにはおられない様子で、ピアノに向かって作曲作業に没頭し、一気に書き上げた。

 

ジョンはピアノで伴奏しつつハミングでメロディを口ずさみ、ヨーコに聴かせた。

聴かせ終わってジョンがヨーコを振り返ると、彼女は穏やかに微笑んで言った。

「素敵よ・・・宇宙的ね・・・」

 

ジョンはヨーコに褒められると、ストレートに喜びが顔に出る。上機嫌になって次は詞を考え始めた。

 

ピアノを弾きながら言葉を模索し、ぶつぶつ言いながら延々とピアノに向かっていたが、夜も更けてきた頃に歌詞が出来上がった。

 

※関連コラム

 

Because the world is round, it turns me on

Because the world is round

 

Because the wind is high, it blows my mind

Because the wind is high

 

Love is old, love is new

Love is all, love is you

 

Because the sky is blue, it makes me cry

Because the sky is blue

 

シンプルであり哲学的でもあり、それだけに意味が覆うものが広大で、ヨーコがメロディに対して言ったのと同様に宇宙的と言える詞だった。まるで限られた文字数に森羅万象の一瞬を切り取って閉じ込める、俳句のような趣きがあった。

 

こういうジョンの詞作りの傾向は、同じく『アビイ・ロード』に収録されている楽曲、半年前に作ったヨーコ・オノのことを歌い上げる『I Want You(She's So Heavy)』以降、顕著になっている。

 

※関連コラム 

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9和声を編曲した5人目のビートルズ

 

後日アビイ・ロード・スタジオにて、ジョンがエレキギターの弾き語りで歌う、この曲のデモンストレーションを聴かされたビートルズのメンバー、そして5人目のビートルズ、ジョージ・マーティンは惚れ惚れと聴き入った。

 

ジョージ・マーティンはクラシックの素養があるので、彼らに真剣な面持ちでこう言った。

「この素晴らしい曲のハーモナイズは私に任せて欲しい。ビートルズの今までで最高のハーモニーを聴かせる曲にしたいんだ」

 

数日後、マーティンが持ってき完成された譜面により練習が始まり、ある程度慣れてくると実際に録音を開始した。なにせ9声で構成されるコーラスラインである。録音にはメンバーの相当な忍耐が必要であった。

 

しかし作者であるジョンはもちろんとして、ポールもジョージも、この曲の素晴らしさゆえか、一切文句を言わず粛々とコーラスを磨き上げていったのだ。

 

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完璧で荘厳美麗なハーモニー

 

この曲の録音にはリンゴ・スターは参加していない。第一にドラムスを入れる曲想ではなかった。第二に、ロックな曲ならともかく、この曲にはリンゴの声質はコーラスに馴染みにくかった。

 

よってこの『Because』はジョン、ポール、ジョージ、そしてアレンジと重要な伴奏の要素となるエレクトリック・ハープシコードを演奏したジョージ・マーティンの四人で作られた。

 

ボーカル以外ではジョンはエピフォン・カジノでハープシコードと同様のアルペジオ(分散和音)を弾いた。

ポールはリッケンバッカーでベースラインを入れた。

ジョージ・ハリスンはこの曲ではギターは弾かず、ムーグ・シンセサイザーを使って効果的な音の広がりを演出した。

 

かくしてビートルズ史上、いや音楽史上に残る美麗なる至高のハーモニーが聴ける曲が出来上がったのだ。ジャンルに関わりなく、音楽を愛するものであれば誰しもうっとりしてしまうような、美しくも荘厳なハーモニーに魅せられてしまう曲である。

 

最後に、『Anthology3』にて公表された、鳥肌が立ちそうなアカペラ・バージョンを紹介してコラムを閉じることにする。

 

 

 

 

Full Album 2019 Mix

  

 

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