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ソ連崩壊するも未だ残る名曲ビートルズ『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』

 

ビートルズ画像

http://rui4oyo.jugem.jp/?eid=1978

ビートルズの『ホワイトアルバム』の冒頭を飾る『バック・イン・ザ・U.S.S.R.(Back In The U.S.S.R.)』はスピード感溢れる切れ味のいいロックンロールナンバーであり、半世紀以上の前の楽曲とは思えない、まったく色褪せなることのないクールでスリリングな名曲だ。

 

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U.S.S.R.つまりソビエト連邦が崩壊してもこの曲は微動だにせず、いまだに輝きを放っている。

 

ところで・・・この曲には実に色々と、興味深い逸話がある。

 

この曲はビートルズと同時期に活躍していて親交もあった、ヒット曲『サーフィンU.S.A』で有名なアメリカのサーフロック・バンド、ビーチ・ボーイズのサウンドをパロディにしたものだ。

 

ちなみにビーチ・ボーイズの『サーフィンU.S.A』はロックンロールの神様チャック・ベリーから、自作の『スィート・リトル・シックスティーン』の盗作だと訴えられた楽曲でもある。

 

裁判の結果、チャックの主張は認められた。元々のクレジットはビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンが書いたことになっていたが、結果的にブライアンとチャックの共作という事になり、著作権印税の50%はチャック・ベリーに支払われることになった。

 

まだまだここからが面白いのだが、ビートルズのこの曲が一筋縄でいかないのは、サウンドはビーチ・ボーイズ、そしてタイトルがその因縁あるチャック・ベリーの曲『バック・イン・ザ・U.S.A.』のパロディになっていると言うことだ。

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『バック・イン・ザ・U.S.A.』はチャック・ベリーが、かつて自分を監獄にぶち込んだアメリカという国に対しての大いなる皮肉を込めて、「アメリカじゃ何でも手に入る!アメリカで生きるってのは最高だぜ」という感じで逆説的にアメリカを讃え上げた内容だ。

 

だから、『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』は音楽的にはストレートでゴキゲンなロックンロールだが、盗作のパロディ、逆説のパロディという複雑な意味合いを持った曲なのだ。

 

しかもこの曲が出来上がる過程で、ビーチボーイズのマイク・ラブが一役噛んでいる。

 

彼はビートルズ四人のインド旅行に同行していた。ジョージ・ハリスンの勧めで瞑想の導師マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの講義を受けに行く旅であった。

 

旅の合間にポール・マッカートニーから、この曲のプロトタイプをアコースティックギターの弾き語りで聞かされた時に、マイクは提案した。

「ソビエトの女の子のことを歌ったほうが面白いぜ」

 

早速ポールは、マイアミに到着したプライド高きソビエト連邦人旅行者といった設定に変更して、そこから発展させた。

 

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歌詞の中で「Georgia's always on my mind」とある。これはレイ・チャールズのヒット曲『Georgia on My Mind』を意図的に思わせるが、ここは捻ってあり、ジョージア州のことではなくかつてソ連の構成国であった南コーカサスの旧称グルジア=ジョージアを指す。

 

自由の国アメリカくんだりまで来たのに、結局ソ連が(裏の意味はソ連のおネエちゃんが)忘れられないといった感じの歌に仕立て上げられたのだ。

 

サビ〜Bメロの部分の歌詞はふるっている。

 

Back In The U.S.S.R.

詞 Lennon/McCartney

 

I'm back in the USSR

You don't know how lucky you are, boy

Back in the US

Back in the US

Back in the USSR

Well the Ukraine girls really knock me out

They leave the West behind

And Moscow girls make me sing and shout

They Georgia's always on my my my my my my my my my mind

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以下、筆者MASAのオリジナル解釈だ。

 

おいらはソ連に戻って来たぜ

ここにいることが、どんだけ幸せなことかわかるかい、みんな?

だからおいらはソ連に戻って来たんだぜ

 

ウクライナのおネエちゃんたちゃ最高さ

まったく魂抜かれちまったぜ

あの娘たちは「西側」を忘れさせてくれるぜ

 

モスクワのおネエちゃんと遊べば

歌わずに、叫び出さずにはいられない

 

そしておいらの胸にはいつも

ジョージア(グルジア)のおネエちゃんたちがいるんだぜ!

 

てな感じであろう。

 

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一説によると、これはソ連のスパイがアメリカの任務を終えて、ソ連に戻る話だとか?

 

ちょっと考えすぎであろうと思う。

 

『Norwegian Wood』とかと同じで、彼らがインタビュアーにいつものウィットに富んだジョークで、アドリブで適当なことを答えたのに尾ヒレがついたのだと思う。

 

ところで逸話はまだある。

 

この曲の録音中に「リンゴ・スター脱退騒動」が起こった。

 

この時期になるとメンバー間の不協和音も深刻になりつつあり、各人が好き勝手にレコーディングをしているのでリンゴ・スターはお呼びがかからない限りなす術もなく、エンジニアとチェスに耽ったりするような日々が続いていた。

 

そして『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』のレコーディング中にそれは起こった。

 

リンゴが曲の途中でドラミングを少々トチったのであるが、それをポールは大いにからかった。これがまずがった。

 

リンゴはそれまで抱えていた不満も手伝って激怒し、もう脱退すると宣言して出て行ってしまったのだ。

 

後にリンゴも冷静になり、ジョージやジョンも彼を一生懸命なだめたので、復帰することになる。そしてこの一件は、当時は極秘にされた。

 

それはともかく、その時リンゴが去った後も、なんとレコーディングは続行されたのだった。

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ドラムスはポールが担当した。たしかにリンゴの癖のあるフィルイン(おかず)はないが、ノリも良く、申し分のないドラミングだ。

 

ジョージのリードギターもソリッドな音で、フレージングもカッコいい。終盤に歌詞が「Let me near your balalaika's ringing out」となるバックでの、バラライカを模したギターによる高音のトレモロもイカしている。

 

ジョンは6弦ベースでベースパートを弾いた。フェンダーの6弦ベースだが、チューニングがギターと同じなので、ギタリストにとっては、扱いやすい。だから、ジョンだけでなくジョージさえも、曲によってはポールの代わりに6弦ベースを弾いているのだ。

 

このように、ドラムスがいなくても・・・ポールとジョンはいつもと違う楽器に持ち替えてでも、余裕でレコーディングに耐えるレベルのアレンジと演奏をやってのけるビートルズ・・・

 

いやはや、まさにモンスターバンドだ。

 

 

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