或る物書きの英語喉と小説まみれのジャズな日々

  英語喉とジャズと小説をこよなく愛し、映画・アニメ・漫画・R&B・70年代ロック・Suchmosなどに眼がない或る物書きが綴る

聴く者の感性を凡ゆる制約から解き放つコルトレーン・ジャズの真骨頂

 

コルトレーン画像

https://tower.jp/article/feature_item/2016/05/25/0104

筆者はブログは別として、依頼を受けた仕事の原稿を書いていて行き詰まると、必ずジョン・コルトレーンのアルバム「マイフェバリット・シングス (My Favorite Things)」を聴く。4曲41分のこの一枚を聴くと俄然筆が進み出す・・・昔からそうなのだ。

 

行き詰った時に聴くと魂が解放される極上の良薬たり得る名盤

 

ジョン・コルトレーン(John Coltrane)享年41歳。

 

彼は筆者が最も敬愛するジャズマンである。彼については下記のコラムで少し触れた。が、少し書くともうだめである・・・もっと書きたい気持ちが胸の奥からとてつもない熱量で湧き上がってきた。

 

なので、コルトレーンについて書こうと思う。一回で書き切れないのは火を見るよりも明らかなので覚悟を決めて、まずは特にお気に入りのアルバムをテーマとして書くことにする。 

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数ある名盤が並ぶ中で、聴く頻度が極めて高いアルバム

 

コルトレーンには、名盤と呼ばれるものは勿論たくさんある。

 

伝説的なライブ盤である「ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード(Live" At The Village Vanguard)」を挙げるファンも多いと思う。

 

 

晩期の崇高で神の領域に触れたのかも知れないと思わせる威厳ある演奏が聴ける「至上の愛(A Love Supreme)」もそうだ。

 

  

コルトレーン進行を開発し実演して、ある側面からの音楽的頂点を極めた「ジャイアントステップス(Giant Steps)」も外せない。

 

 

マイルス・デイビスの「MILE STONES」と並び、モード奏法の記念碑的なアルバム「インプレッションズ( Impressions)」を外してはジャズファンとしての品格を疑われる。

 

 

これらのアルバムはそれぞれでコラムを書くことができるほど、濃い内容と音楽の深みをを持つ名盤だ。もちろん初期にも優れたアルバムがある。

 

その中で、筆者にとってこの「マイ・フェイヴァリット・シングス(My Favorite Things)」が、聴く頻度からすると最も高い。普通に聴きたい時と、冒頭に書いたように原稿を執筆していて行き詰ったと時だ。

 

このアルバムを聴くと、本当に想像力と想像力が刺激される、というより精神の奥の方から突き動かされる感じだ。

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イマジネーションの広がりは無限であることを感じさせる名盤

 

1曲目の表題曲は、ブロードウェイのミュージカルが映画化されて世界的に有名になった「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌だ。コルトレーンは普段のテナーサックスからソプラノサックスに持ち替えている。

 

冒頭にコルトレーンの奏でるミステリアスな響きのソプラノサックスは2分ほどで退いて、もうちょっと聴きたい感を与えつつリズムセクションのソロ回しが続く。

 

リズム隊が徐々に盛り上げた音空間に再び登場したコルトレーンはリミッターが外れたようにエモーショナルかつ音楽的に限りなくクールでエキセントリックなインプロヴィゼーションを繰り広げる。このインプロヴィゼーションは格別だ。

 

浮遊感があり、リリカルでもあり、魂があらゆる制約から解放された状態を音で表現するとこのようになるのではないかと思う。

 

耳を傾けるこちらの精神も、日常や惰性という手垢のついた無意識の制約から解放されてゆく。クリエイティビティに影響を与える旋律であり音色を、このコルトレーンという「巨人」は奏でるのだ。

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曲によって景色が変わり、彩りある音空間を現出するアルバム

 

表題曲以外もすべて素晴らしいパフォーマンスが聴ける。

 

2曲目の「Everytime We Say Goodbye」は安心して聴けるスタンダードなスロー・バラードだ。部屋の照明を暗くして、ウィスキーを注いだグラスを手に聴けば、そのまま洒落たバー空間になりそうだ。

3曲目は「Summertime」で、これもスタンダード曲である。ジャニス・ジョプリンのバージョンも有名だ。しかしコルトレーンはフリージャズ寄りのテイストで吹きまくる。個性的なピアノのマッコイ・タイナーすら平凡に聴こえてしまうほど、コルトレーンの強烈な個性は誰も止められない。


4曲目の「 But Not For Me」はスタンダード・ナンバーを、非常にリラックスした雰囲気で演奏した、洒落た大人のジャズとして安定感に溢れている。

 

余談だが、ジャズを難しく思う人もいると思うが、それは違うと伝えておきたい。

 

筆者も一時期はジャズギタリストを目指し、プロに師事したこともあるが、そういう経験も踏まえて言えることがある。

 

ジャズを奏でる者は色々と難しいことも覚え、高度な技術を身につける必要がある。しかしそれは制約などではなく、逆であり、制約を超えて自分を表現するためのものだ。

 

耳を傾ける者は、そんなことは知らなくて全然大丈夫で、ただありのままの音を聴いて、感じるままに楽しめばそれでよいのだ。それがジャズの楽しみかたの唯一のルールだと筆者は思う。

 

ともあれ、このような素敵なアルバムに出会えたことは、とてつもなく幸せだと思う。ぜひ多くの人が聴く機会があればよいなと願う。

 

筆者はこれからも普段に、そして行き詰まるたびに聴くことになるだろう。筆者にとって「私の最もお気に入りのもの」として。

 

 

      

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