或る物書きの英語喉と小説まみれのジャズな日々

  英語喉とジャズと小説をこよなく愛し、映画・アニメ・漫画・R&B・70年代ロック・Suchmosなどに眼がない或る物書きが綴る

フュージョンギター史上最高作TOCHIKAに見る渡辺香津美の秘密

 

日本のジャズシーンでもギタリストの中で名実ともに最高の弾き手である、渡辺香津美の名アルバム「TO CHI KA」は1980年に発表された、ジャズのフュージョンムーブメントの頂点を極めた記念碑的名作だ。

 

 

 

~「液体のように滑らかな指」それがKazumi Watanabe ~

 

常に香津美のギターは素晴らしいが、とりわけこのアルバムでのプレイは瞠目すべきクオリティであり、個人的には彼の最高傑作だと位置付けている。

 

万人が認める恐ろしいほど滑らかなフィンガリング

 

アルバム中の「リキッド・フィンガー」という曲は、液体のように滑らかな指の動きという意味であり、彼のギタープレイのスタイルを表現した言葉だ。

 

時には優しく温かく、時にはクールに、また時にはエモーショナルに、香津美のギターは唸り、歌い、囁き、微笑む。

 

近年では、彼のミュージシャンデビュー45周年を記念して、国内外の親交のあるギタリストとコラボレートして作った「ギター・イズ・ビューティフル KW45」において、燻し銀のようなギタープレイを聴くことができる。

 

  

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彼の左手のフィンガリング=運指はまさに神業だ。もちろん右手のタッチも素晴らしいからこそであるが、運指が恐ろしいほど無駄がなくて美しく、緩急自在なのだ。

 

渡辺香津美が物凄く速いパッセージを弾くときも、バラードで音数少なく弾くときも、常に美しく、クリアで丁寧で音楽愛の籠った音を奏でる秘訣は、左手の運指にあると確信している。

 

一方、ギターの演奏というものに対して、英語喉実践が深まって以降、メソッドが解き明かした発音方法と、筆者の専門分野(アマチュアだが)でもあるギター演奏に、実にいろんな部分で酷似していると常々感じてきた。

 

英語喉にとって、もっとも重要な2つの要素と言えば「喉発音」と「スリービート」だ。

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ギターの滑らかな運指と英語喉の「スリービート理論」との浅からぬ関連性

 

本題に入る前に、英語喉の「スリービート理論」に関して、簡潔に説明しよう。

 

英語喉著者の一人ジーナ・ジョージさんが、大げさでは無く人類史上初めて解き明かしたネイティブ発音の秘密の扉が「スリービート理論」なのだ。

 

この発見と体系化は未だに英語教育界はシカトウしているが、紛れもない真実であり、これからの日本人の英語学習の歴史が証明するのは、おそらく間違いないだろう。それぐらい凄い発見であり体系化なのだ。

 

余談だが、そのためにも「英語喉メソッド」が生まれる過程を描く小説「 喉の旅」をKindle本として来月以降に世に出し、さらに漫画版で広い層にも知ってもらおうと考えているのだ。

 

多くの人は「スリービート」を理解するだけでも、英語の聴き取りがまずぐんと向上するだろう。意味をすべて理解するかどうかは別として、どのような音を発しているかという「音の輪郭」が、まるでデジカメの解像度がぐんと圧倒的にアップしたような感じでわかるようになるのだ。

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英語における従来の音節=シラブル解釈は ・・・
「母音」「子音+母音」「母音+子音」「子音+母音+子音」の4種類とされてきた。


しかしスリービート理論は明快だ。微塵の迷いも無い。全てのシラブル(一部の例外を除いて)が「子音」+「母音」+「子音」なのだ。1つのシラブルに3つの音が収められるので「スリービート」と名付けられた。

 

全てと言っても子音が足りない場合がいくらでもあるじゃないかと思う人もいるだろう。

 

確かに campaign なら cam/paign で 2音節のどちらもが子音+母音+子音だが cabin はどうなるかだ。


ca/bin か、あるいは cab/in か?どちらも2音節のうちひとつは子音+母音+子音にはならなさそうだが・・・なるのである!

 

cab/bin と読むのだ。

 

子音が足りない時は隣の子音を借りてくる。ただ発話方法はbを2回続けて発音するのではなく、最初のbはb音の前半、後のbはb音の後半を発音する。
summer とか tennis はスペル自体からその状態だ。

 

基本的にほとんどの母音を子音で挟んでしまって、その結果ほとんどの音節がスリービートを含むことになる。

 

また単語の頭や最後が母音でも、センテンス上のその前後の単語の頭や最後から子音を借りる。 隣接する音もさらに母音の場合やセンテンスの冒頭や末尾が母音の場合はどうなるのか?。

 

それでもなお、欠けている子音の場所は、いわば無音の音としてやはりスリービートで発音するのがネイティブだ。ギターのミュート、つまり手や指の一部で弦に触れて、消音して弾く弾き方に似ている。 

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そういう訳で全てのシラブルがスリービートで発話される。これに気がついて、体系化したところがスリービート理論の凄いところだ。


どれぐらい凄いのかというと「ネイティブにとって当たり前過ぎて気づかないこと」に気がついたのだ。

 

多くのネイティブはこのことを言ってもピンとこない。私も過去に、実際に何人かに確認した。彼らは幼少から当たり前のように母音を子音で包んでるので、意識していないのだ。

 

だから大真面目で反論されたりする。でもその反論の発音が、しっかりスリービートになっているのだから面白い。

 

日本人が無意識に音を切っていること(英語喉的には喉ブレーキという)を、自らは自覚していないように、それも無理もないことだろう。つまり日本語が音をひとつひとつ切ることは、喉実践者以外の人に言ってもなかなかピンとこないのと同じことだ。 

 

ともあれ喉発音で、なおかつ音を切らずに喋ると・・・・何も難しく考えなくても母音を次の子音までそのまま保つことに無理があるので、安定を求めて隣の子音とさっさと引っ付くのである。自然とそうなる。

 

それがシラブルの三つ目の音、あるいは母音で始まる単語の最初の音となる。ちなみに日本語は子音+母音、そこで音をカット、の繰り返しなのでツービートだ。

 

スリービートに関しては、以下のコラムも参考にして頂きたい。

~最多ブックマークの人気コラム~

 

さて、ここからが渡辺香津美の「運指」との関連性になる。

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ギター巧者の運指とアマチュアのそれとの根本的な違いとは?

 

ギター巧者が弾くときの左手の指は、右手の指もしくはピックが弦にタッチする直前までにしっかり固定される。わかりやすくプロフェッショナルとアマチュアを識別するひとつの目安がある。

 

それはこの左指が弦を押さえてから、弾かれるまでの余裕だ。

 

つまりプロフェッショナルはそれがたとえ速いパッセージであろうが、余裕を持って次の音が先んじて押さえられる。先んじてしっかり押さえておれば、出る音も堂々たる立派な音になるし、音の流れにムラがない。

 

逆にこれが、押さえるのがぎりぎり直前になればなるほど音が、ブツブツと切れがちになる。未熟なギタリストは速弾きになると、弾けているようでも音はブチブチだ。

 

しかし卑しくもプロフェッショナルを名乗るギタリストで、これが出来ない人は一人もいない。そして中でも渡辺香津美の「運指」は超一流なのだ。

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具体的に言うと、例えば「ドファレミドレ」と来る場合、しょっぱなのドは誰でも先んじて押さえられる。プロが違うのはドが鳴っている間に、ドを押さえた指はそのままに既に隣の弦でファのポジションを別の指がしっかり押さえる。


同じくファが鳴っている間に、ファを押さえた指はそのままに、元の弦のレのポジションを別の指がしっかり押さえる。基本は、リズムが変化しようがこの繰り返しだ。次のミもその次のドも同じ。

 

この、次の音位置を先に押さえるという行為が、喉発音でシラブルの繋ぎ目が同じ子音、もしくは前述のように後の子音を借りてくる時の三つ目の音と同じ感じだ。

 

また、同一の弦で音が変わる時は先に鳴っている音をぎりぎりまで切らずに保ち、瞬時にしっかり押さえて直後に弾く。これが例のフレーズの最後のドからレに移行する時だ。これはシラブルの繋ぎ目が別の子音になる時に似ている。

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前の子音はその音の前半まで発音され、瞬時に切り替わって後の子音の後半だけ発音される場合だ。

 

渡辺香津美のフレーズが、たとえどれだけ激しく速いフレーズであろうが、淀みなくスムーズにクリアに、そして美しく響くのは、次に来る音をあらかじめしっかり押さえたり、ぎりぎりまで持ちこたえて瞬時に切り替えたりする技術が極めて高い水準であるからだ。

 

喉発音の英語がスムーズに繋がるのも、スリービートの三つ目の子音をちゃんと借りてきたり、シラブルの繋ぎ目が三つ目の音の前半から瞬時に次のシラブルの最初の音の後半と切り替わるからだ。

 

ともあれ、ギターと英語喉はやはり非常に関連性が高い。

 

ひょっとするとギターという楽器にとどまらず、連続で音を発する現象すべてに対して、それが無駄なく良く響く場合には、同様の英語喉との関連性があるのかも知れない。英語喉と音に関する興味は尽きない。