【エンタメ】『ショーシャンクの空に』S.キング原作小説でこそ真に感動する結末

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「そりゃ、ダントツで『刑務所のリタ・ヘイワース』やで!」

 

電話の向こうで友人Mがさほど悩まず、むしろ即答をしたのはいわゆる当時流行っていた定番の質問とも言える『無人島に一冊だけ持っていくとしたら?』を筆者に問われた時だ。

 

心が踊り目の前の課題と向き合う燃料になる小説

 


1990年の8月は本当に暑かった。

 

記録的な猛暑であり日本全国で6月と8月に異常高温を示しており、大阪では連続70日間の真夏日を記録した。

 

筆者の棲む神戸でも、当時としての観測史上1位(1994年に更新される)の高温を記録した。筆者がMに電話を掛けたその夜も・・・やはり熱帯夜だった。

 

筆者とMは学生時代以来の畏友で、何か悩むことがあるとお互いに電話をするが、普段は千葉と神戸の距離相応の頻度でしか連絡しなかった。

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そしてその夜は仕事のことで色々と悩んでいた筆者が、なんとなくMと話せばヒントが貰えるような気がして電話を掛けた。何という事もなく、だ。

 

とりとめのない話を続ける中で、深い意味もなく定番の質問をした。その答えが「刑務所のリタ・ヘイワース」だった。


「それ誰が書いた本や?」

眠りに就いている家族を起こさぬよう、筆者は声を低めに尋ねる。

 

「スティーブン・キングや、知ってるやろ?彼の書いた中編小説や」

Mはその日、残業が長引き、帰宅途中の立ち喰いうどん屋で夕食を簡単に済ませて戻った一人暮らしのワンルームマンションで、あまりの暑さにシャワーをたっぷり浴びたばかりだった。

 

だから相当疲れているはずなのに、機嫌良く筆者の深夜の電話に付き合ってくれた。本当にいいヤツだ。

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「その小説ほんまごっつええで。読んでみたら?」


「スティーブン・キングってあの『シャイニング』とか『キャリー』の原作者やろ?おれホラーはあんまり読まへんで」


「それがな、全然ホラーと違うねん。なんちゅうかな、現代版モンテクリスト伯みたいな感じかな。せやけど辛気臭くないし、めちゃめちゃオモロいねん。ラストはマジで感動するで」


だんだん熱を帯びるMにつられて、読もうかという気になった。

 

「文庫本出てるん?」


「ゴールデンボーイっていう中編と二篇合わさって一冊の文庫で出てる。本のタイトル自体は『ゴールデンボーイ』や」

 

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翌日の仕事の帰りに、乗り換え駅である梅田の紀伊国屋書店で例の文庫本「ゴールデンボーイ」を買った。早速、電車の中で「刑務所のリタ・ヘイワース」を読み始めた。

 

数ページ読み進めたらもう、その面白さにぐいぐい引き込まれ、結局その日、と言うか日付は変わっていたが深夜に読み終わった。

 

そして思った。これが・・・これこそが小説だと。

 

もしこの小説を読んだのに、主人公アンディことアンドリュー・デュフレーンに羨望や憧憬の念を抱かない人を見つけるのは、至難の業だろうと思う。

 

それは天気の良い日曜日に大阪心斎橋筋商店街で偶然友人とすれ違い、2~3分経ってからふと彼と話がしたくなった時に、探し出すのに成功するのと同じぐらい難しいだろう。

 

また、仕事での悩みから何かヒントを求めて電話を掛けた相手のMは、筆者がその事を何も切り出していないのにも関らず、結果として立派に助言者としての役割を果たしてくれたのだとも、しみじみと思った。

 

つまり、当時の筆者が目の前の課題に向き合うための心の燃料を、この小説からたっぷり補給出来たと感じた。とりわけ「刑務所のリタ・ヘイワース」の最後の数行を何度も何度も反芻しながら。

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それから4年後にその小説は「ショーシャンクの空に」という名で映画化され、それなりにヒットもし話題にもなったが筆者はロードショーに行かなかった。

 

テレビで流れていた予告編で観たアンディを演じる俳優が、あまりにも原作のアンディのイメージと違っていたからだ。

 

小柄で華奢でいかにも銀行マン然としたアンディが、あの身長195cmで威風堂々たるティム・ロビンスが演じるとは・・・。

 

後年、「神々の山嶺」の主人公であるずんぐりむっくりの羽生丈二を阿部寛が演じると聞いた時も、同様の違和感を覚えた。

 

また、"Rita Hayworth and Shawshank Redemption" はとても洒落が利いた良いタイトルなのに何故か "The Shawshank Redemption" に変更されていたことも気に入らなかった。

 

「女優リタ・ヘイワース」が物語の中で、どれほど重要な役目を担うのかに思いを馳せれば、当然の憤慨であろう。

 

ただ、その理由を後になって知って納得せざるを得なかった。リタ・ヘイワースの伝記映画のように勘違いされる危惧があったかららしい。

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しかし映画化から17年後の2011年、つまり小説「刑務所のリタ・ヘイワース」を初めて読んでから実に21年後の夏に、筆者は映画化されたものを「字幕無し」で観た。

 

予想通り、原作から色々と変えられてあった。勿論小説の映画化というものは双方の性質の違いから、設定やディテールの変更を伴うのが常であることは知っていたので我慢出来た。そして良い映画だと感じた。

 

それ以上に大学卒業以来は、ほとんど英語に縁のなかった筆者がその年・・・2011年の1月から英語を独学でやり始め、2月に一冊の英語教材「英語喉50のメソッド」に出会って劇的な聴き取りの向上を体験し、その映画を字幕無しで観て楽しめているのが何よりも不思議だった。

 

 

しかしながら、映画と小説の終わり方には大いに相違がある。詳しくは書かないが。

 

映画はもちろん原作あってのものなので、この英語のエンディングに関しては賛否両論あるだろう。映画だけを知っている人には充分に感動的な終わり方だ。

 

しかし原作を知るものにとっては、あの文学的に素晴らしい終わり方を生かして欲しかったと思う。映画も広義の文学の範疇にあるものと信じるので、必ずしもあの結末の方法が必然ではなかったと思う。

 

それはともあれ、それは全体からすれば一部の話であり、他にも色々と原作小説でしか味わえない感動と感銘に満ち溢れた中編小説であるとだけ、伝えておくことにしよう。

 

 

 

 

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或る物書きのジャズな本棚: My Favorite Novels ネタバレなき醍醐味紹介 (或る物書きのジャズな文庫)

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もし、言及した作品自体は好みではなかったとしても、本文ではその作家の持ち味も掘り下げているので、その作家の他の著作に目を向ける機会にもなり得るだろう。

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喉の旅 上: 英語喉メソッド誕生秘話 (或る物書きのジャズな文庫)

 紹介文

 

この物語は事実にもとづいた小説である。英語圏のネイティブスピーカーと同じ発音を可能にする、画期的な英語メソッド本「英語喉50のメソッド」の著者上川一秋とジーナ・ジョージが主人公だ。


アメリカ社会の中であまりに周囲が自分を無視するので、自らを「透明人間」と名付け、コミュニケーションに深刻に悩んでいた上川は、自分の英語に原因があるとの仮説のもと、妻であるジーナとともに、ネイティブ発音の核である二大要素の存在を発見する。

 

その発見を自らの英語の発話に取り入れだすと、周囲の上川に対する接し方が一変し、ほどなくアメリカ社会に完全に溶け込めた経験により、発見の正しさを身をもって証明する。


そして彼らは日本人が、英語ネイティブと対等なコミュニケーションが取れることを願い、試行錯誤の闘いを通してメソッドを体系化し、学習書籍として世に送り出した。

 

本書はその闘いを、上川自身が書いた記録文書や著者MASAによる上川を含む複数の関係者たちへの綿密な取材を通して再構築し、描いたリアルなフィクションである。


上中下3巻構成で、読み進めながら「英語喉」つまり「ネイティブメソッド」のアウトラインも理解できる、史上初の英語学習小説でもある。

 

また、この小説はエンタテインメントとしても楽しめる内容を有するが、上川一秋が監修の労を担っており、英語喉メソッドを広める啓蒙書籍としての資格も備えた小説であることを銘記しておく。

 

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